あれは2000年の夏のことであった。

 9月3日に上野の水上音楽堂にて開催される詩の朗読イベント「ウエノポエトリカンジャム」に出演することになっていた私は、当日朗読する作品の制作に七転八倒する日々が続いていた。

 おそらく当日続出するであろう自己完結的な心情の垂れ流し作品とは明白に一線を画した作品。時代性、社会性を帯びつつも詩に関心などない人たちにも受ける作品。そんな志が高いような低いような作品を世に問わんと躍起になっていたのであった。

 そんなある日のことであった。尋常でない暑さに何をする気も起こらず、ぼけーっとしてた私の耳に、異様な音が。

 当初は耳に紛れ込んでしまった小さな羽虫の羽音かと思われたその音は徐々にボリュームを増していった。その音は数えきれないほど多くの音が重なりあってできていたのだが、それぞれの音は、同じ音を発していた。そう、その音は、こう聞こえた、いやこう唸っていたのである。

 「モウ!」

 そしてそんな無数のモウ!が、ある一定の法則性を持ちながら流れ重なりあっているその様は、さながらベートーベンの第9の合唱の部分を牛が歌っているかのように聞こえたのである。

 そして次の瞬間、私の脳裏に電撃のように天の声、いや、牛の声が轟いたのである!

 「ミーイズムからモーイズムへ!」

 おおーっ!

 い、いや、

 モウーっ!

 この瞬間、日本牛乳党宣言が高らかにその産声をあげたのであった。




 そして今私はここに誓うのである!

 宣言は力強く!かつどこででも!

 説明は最小限に!かつ気が向いた時に!

 国民を導くのでなく、国民に迎合するだけの風見鶏政党ばかりが跋扈しているこの国で、馬耳東風、いや牛耳東風を貫く、牛見鶏政党である日本牛乳党はどこへいこうとしているのだろうか。

 その行き先は神のみぞ、いや、牛のみぞ知るのである!

  

           平成吉年吉日      日本牛乳党党首 西岡高志

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