「へんな質問」

地下鉄の階段を昇りながら
ふう重い  ああ重いと繰り返したら
そのひとは後ろから
肩に掛けたかばんを持ち上げてくれた
かばんが掛かったまま
肩は軽くなった
ありがとうやさしいね
とあたしは言って
ところで
いつまでそんなにやさしいの

一生とか ずっととか
珠のようなうそを期待して
あたしは訊いた
そのひとは少し黙って
わからないと言った
どうしてわからないの

だって へんな質問だから
いつまでやさしいの
と訊くのは

 詩集「皮膚のまわり」(あざみ書房)より 戻る